Message.1匠からのメッセージ

金井大道具にとって一番の財産は人です。
継承される技に、さらに研鑽を重ね、
金井大道具のクオリティを支える、
ベテラン職人の声。

目立って、目立たない
主役を引き立てる
ための美術

シーンテックさいたま美術センター美術/西山 達也

舞台美術の在り方にこだわる

舞台美術というのは、主役ではなく第一義は演者を引き立てるものだから、「目立って目立たない、いや目立たず目立つ」という事が、演出家の意図の前に、まず私の念頭にあります。技法的に言えば、『遠と近』の仕上げですね。舞台は、客席との距離がある程度決まっている「遠」です。一方イベント・展示会などでは、お客さんの距離が近い。昨今のハイビジョン化でテレビなどの現場でもそうですね。たとえばリアルさを求めても、その見え方や仕上げ、新しい絵の具の模索から筆使いまでが変わってきます。

いまが一番キツイという意味

金井で過ごしてきた37年のキャリアにおいて、僕はいつも今とりかかっている仕事が最もきついと思っています。それは、たんに体がつらいとかという事ではなく、自身が培ってきたノウハウが積み重ねられるにしたがって、自分に何ができるかというハードルもまた高くなっていくからなのかも知れません。金井の美術の伝統として、決して手を抜かないというのがあります。そこには、私たちの仕事すべての仕上げであるという責任感があります。後を受け継ぐ後輩たちに、そして自分自身への自戒を込めて言いたいことは、金井大道具に胡坐をかくことなく、常に原点を大切にし、これからも楽しく仕事に挑戦していってほしいと思います。

面白いからこそ、続けられる。
好きだからこそ、
よろこびがある。

シーンテックさいたま美術センター製作/鈴木 宏次

日々、新しい挑戦の中、発見がある

1979年、入社。以来36年を超えて、製作一筋でやってきました。いわゆる職人の世界と言いますか、「盗め!」という言葉通り、見て覚えるというのが私の時代の基本でしたね。でも世の大工仕事とは違って、この業界は、一日たりとも同じ日、同じ仕事はないんですね。自分が身につけてきた技量をもとに、いかにすれば、より良い仕事が完成できるか、日々が新しい挑戦であり、発見もそこにはあります。舞台やスクリーン、テレビなどで、自分が手掛けた作品を目にすると、やはり達成感があります。

平静であること、ポジティブであること

仕事において最も大切にしているのは、常に平静な気持ちを保って、楽しく行えるということ。自身の経験から言っても、その心持ち、心構えがなによりも、事故を減らす。みんな一人ひとり家庭を持っているから、それはとても大事なことだと思う。だから、いま心掛けているのは、若い人たちを中心にそんな環境を作ってあげること。そして危険を察知する、それは、仕事上のあらゆる意味でのトラブルを未然に防ぐということです。常に、挑戦するという、いままで培ってきたものがつながっていく。うちの若者を見て、いい具合に育ってきているなあと、それが私にとってうれしいことです。

変化が激しい
テレビの世界。
試されるのは、
確かな「根」だと思う。

緑山工場製作/安達 誠

求められるのは、機動力と多様性

劇場や、イベントが、実際に足を運ぶことで体感できる空間であるとするならば、テレビはお茶の間で楽しむ家族の娯楽です。そして、時代の変化に伴って求められる番組も、時代に即すというよりもむしろスピードを先取りしていくのが、テレビの宿命だと思います。当然私たちに求められるのもスピーディーさや機動性。多様な場面・現場に対応する対応力。変化が激しいからこそ、新しい素材を使用したりと、新しいチャレンジが必要で、スタジオ直結という利点を生かしながら、どのように演出や、デザインの要望に応えていくかを考え実現していくのは刺激的な仕事だと思います。

親子2代、大道具の真髄はセンスにあり

私自身、もう早30年になろうかというキャリアをここで過ごさせてもらっていますが、実は、私の父も金井大道具で美術を生業としていたんです。幼いころから、父の働く姿を見てきたせいか、やはり、大道具の仕事の根底には、手仕事の妙というかアナログなセンスが大切なのだとしみついているところがあります。特に変化が激しく、時に実験的なアプローチも試されるテレビの世界だからこそ、この思いは大切にしたい。その心を忘れない限り、この仕事は面白いと、胸を張って言えるんだと思います。